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執筆者の写真atelier-yazd

●オーダーの腕時計ケース

先月から今月はとても慌しい日々を過ごしております。

来月いっぱいは引っ越し作業に充てる為、ご注文の品を出来る限りギリギリまで製作するスケジュールで、えんやこら、手を動かしております。


そんな先月の末、一年以上もお待ち頂いていた特注の腕時計ケースがようやく仕上がりまして、今週、ようやく、お客さまに受け取って頂けました。

とても喜んで下さったのが嬉しかったのと、「これでもか〜」というレベルで刺繍を刺せた充実感を記録しておきたくて、こちらに書いております。


腕時計のコレクターでいらっしゃるお客さまから、とある腕時計を入れて持ち運びをする時に使うケースのご要望を一年半ほど前にお受けしました。

一枚革を内縫いの仕上げにして、腕時計に縫い目などが一切当たらない仕様にする事を決め、試行錯誤の上で、最もシンプルな型を引きました。


素材は、最初から決めていたのですが、ヌメ鹿革のナチュラルでした。

既に廃業してしまわれたタンナーさんで作られていたヌメ鹿革のナチュラルは、何の染色もしていない、本当に無垢な革で、丈夫でありながらもとても柔らかであるという、素晴らしい革なのです。

精密機器である高価な腕時計を覆うにはピッタリの素材でした。

この革を小物用に少しだけ取っておいたのです。


お客さまからは、ひと目見て「ザ・ヤズド」だと分かる様なケースにして欲しいとのリクエストを頂戴していましたので、「めいいっぱいの刺繍を刺したい!」というのが、私の最初からの希望でした。

結果、一年分の刺繍を刺せたのではなかろうか?という達成感です。

自己満足で終わってしまえばそれまでですが、お客さまが喜んで下さったので、感無量です。


自分自身も良い仕事が出来たと思えて、それをお客さまにも喜んで頂けるという循環の有り難さと嬉しさを糧に、また明日から手を動かしたいと思った師走です。

まだまだゴールは先でございます。




ヌメ鹿革の腕時計ケースです。

両面合わせて60個の刺繍を入れております。


逆の面。


縫い合わせる前の段階。

一枚もののヌメ鹿革を縫い合わせて、入り口の有るケースを作ります。













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