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● 鰻


土用の丑でしたね。

鰻、食されましたでしょうか。

世の中の鰻好きの方同様に、わたしも鰻は大好きです。


ですが、長年の乱獲、不正な漁や取引、鰻自体の生体の不明さにより、絶滅危惧種とされて久しい生物でもあります。

そういう事を知ってからは、どうにも鰻を食べる事に抵抗が有りまして、スーパーやコンビニで売っている鰻は、長い事、買わずにおります。


ですが、どうしても食べたい時は、真っ当なルートで取引されて、大事に調理された鰻を年に一度だけ大事に食べるという事にしています。

それでも十分にエゴな行為だなとも思ってはいますが。



工房の直ぐ近所、名張川のほとりに老舗の川魚料理屋の『清風亭』さんが有ります。

三代に渡って、女系の女将さん達が仕切っている料理屋さんです。

先代のお婆さまが亡くなられてからは、お母さまとその娘さんご姉妹二人の三人で営んでおられるお店です。

そちらのお姉さんと私は、高校の同級生でありまして、今の工房を紹介してくれた友人でもあります。

こちらの清風亭さんの鰻が絶品で、年に一度の鰻は、こちらで食することにしています。


清風亭さんの鰻は、関西と関東の文化が混じるこの地域ならではで、関東風に背開きをし、蒸さずに関西風に焼き上げるという工程で作られるので、とてもこうばしいです。

長きに渡って受け継がれているタレは濃すぎず、本当に上品で、もっちりと炊き上げたご飯にしっかりと混ぜ合わせてくれていて、「まむし丼」と呼ばれる鰻丼は、本当に美味です。


その鰻とともに、このお店の名物が、鯉を使った「鯉こく」です。

全く臭みの無い柔らかな鯉の身と、特注されている甘みのある白みそとのバランスが絶妙で、こちらの鯉を食べてから、鯉の美味しさを知りました。


あまり知られてはいませんが、名張は、江戸川乱歩先生の生誕地でありまして、東京で有名になられた後も名張をよく訪れていらっしゃって、こちらのお店によく立ち寄っていたそうです。乱歩先生は、この「鯉こく」がとてもお好きだったそうです。

そういう繋がりもあり、かつては、色んな文豪の方々が名張で講演会をしてくれておりました。その際には、皆さん、こちらの『清風亭』さんにて鰻を含めた川魚料理を食していかれたそうです。



土用の丑の日では無く、6月の横浜イベントの前に、両親を連れて、清風亭さんに伺っておりました。

私自身が、ワクチンも打てずに、日本全国をあっちゃこっちゃしている身ゆえ、いつ何時、どうなるか分からんという身の上でもありますし、その時点で、両親ともにまだコロナワクチンを打てていなかったので、こちらもどうなるか分からないという状況で、せめて美味しい鰻を食べて、今年の鋭気を養っておくか、という思いからでした。


久々の清風亭さんは、各席にアクリル板を設置して、コロナ対策もばっちりで、名張川が良く見えるお部屋を用意して下さってました。

まむし丼、鯉こくともに、期待を裏切らない美味しさ。

今年の鰻をしっかりと堪能させて貰いました。


鰻の将来の事を思うと切なくもなるのですが、貴重な鰻の美味しさと栄養を頂いて、贅沢ですが、鋭気を養った初夏の事でした。

若女将、ご馳走様でした。



風情有る入り口。『清風亭』さんHP → http://www.seifutei.com/

私と母は、まむし丼と鯉こくのセット。

80歳を前にして、まだ食の太い父は、特上のまむし丼と肝吸いのセット。

乱歩先生の色紙。

大好きな清張先生の色紙。

開高健先生の色紙も。