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執筆者の写真atelier-yazd

⚫︎ 11月も半ば過ぎです

いやもうびっくりです。

11月も半ば過ぎておりまして、びっくりというか、何というか。

ある程度の年齢になると、時間が経つのが早いとは言いますが、ここまでとは。

とりあえず、しぶとく生きております。


先月もあっという間に時間は流れまして、月初には本当に久々にお会いできたお店のオーナーさんとじっくりお話が出来たり、久々に神戸と大阪に外出をして作り手の方の個展に伺ったりして良い時間を頂きつつ、隙間時間で畑の畝を作ったのち、じっくりとオーダー製作に掛かって仕上げを終えたら丁度10月が終わっておりました。


今月は、色々とやる事が多いぞと思いつつ、尊敬するモヒカンポシェットさんのポップアップイベントに伺って刺激を頂いたり、好きな映画監督さんの復帰作映画を観て感じ入ったりしておりました。

今週は、陶芸の作家さんが遊びにお越し下さって、お昼ご飯を作って振舞って頂き、その後、ゆっくりとお話が出来まして、これまた凄く良い時間でした。


そして、今月は「あ!あの革で、あの鞄が作りたい!」という欲求に駆られまして。

いそいそと材料棚を探りつつ、革を広げて、型紙をパズルの様に組み合わせて裁断。

貴重な革で有り、特殊な革なので、その革の持つ性質を見極めつつ作業しないといけなかったので、いつもより多めに時間は掛かってしまったのですが、良き鞄達が出来上がりました。その素材は、獣害で出た獣をなめした鹿革です。


この革、知人の男性が三重県の山中にて、一人でこつこつと舐めして作った正真正銘のヌメ革です。

彼は、獣害で出た獣、事故などで死んだ獣、罠などで狩猟した獣たちの皮を舐めして、革として使える様に加工しています。

この加工を始めた初期の頃に、川辺での作業工程を見させて頂いています。

生皮がこんな風に「革」になっていくのか!無茶苦茶面白いなあと興味津々でした。

とてつも無く地道で根気の要る作業を重ねる事で、ようやく出来上がる革。

しかも、ひとりで作っているので、少量しか作れないという貴重な革。

その時から、いつか鞄に使わせて貰いたいと思っていました。

年月を経て、試行錯誤を繰りしつつ、その加工技術を更にレベルアップさせて、ワイルドさを最大限に生かしつつ、鞄を作る際に加工作業もしやすい状態の革が出来てきたタイミングで、鹿革を2枚預かりました。その革を使用して作った鞄がようやく出来上がったのです。


普段、革屋さんで購入する鹿革とは全く異なる表情と触り心地です。野趣溢れる表情。

生きていた際についた傷、まだやや残っている毛などが、ワイルド過ぎて格好良い。

通常の鹿革は、滑らかな肌触りの良さが魅力ですが、こちらの鹿革は、ゴツゴツ感と一緒に出ているシボ感が味わい深くてこれがまた良いのです。

ゴツさは有るけど、革表面の下の繊維に空気感が有る事で、使い込む程に、しなやかさが増して来てくれると思われます。

私の拙い写真では伝え切れないのですが。


このワイルドさを味わうには、シンプルなデザインの鞄が良いのだろうとも思ったのですが、如何せん、私は作り込みの激しい鞄を製作する事を楽しむ人間ですから、この革で私しか作れない鞄を作ろうではないか!と思い至りました。

で、製作したのが、「樹の実case 」と「ふらりぶらりさんショルダー」です。


ちなみに「樹の実case 」には、もの凄く貴重な極厚のヌメ馬革のバット革をショルダーベルトに使用しています。この馬革は、繊維が密で有りながら、しなやかさも有りつつ、とても強いのが魅力で。もうこの種の革では見る事が出来ない6㎜の厚さが有ります。

10数年、大事に使いつつ、保管して来たものですが、遂にこの鞄で使い切りました。

何よりこのワイルドな鹿革との相性が抜群な革です。


何度も作って来ている鞄ですが、素材が変わると、色々とこちらも試行錯誤せねばならぬ所が有り、初心に戻って製作作業をしておりました。

出来上がった段階で知恵熱が出ましたが、良き鞄が出来ると幸せな気持ちになるので疲労感もふっとびました。


ちなみにこの革を製作している彼は、同じ師匠の元で働いていた人物です。

私が師匠の工房を辞めた後の事なので、同時期に働いた事は無いのですが。

独立をしてから、年に一度くらいのペースでうちの工房に来てくれて、その度に新しい革を見せて頂いておりまして。

また凄く進化しているではないかーい!と、毎回感じております(先輩おばさんの上から目線)。それがとても頼もしく、楽しみでも有るのです。


それと、今までに購入出来ている革という素材の供給が、きっと永遠では無いだろうと思う気持ちが常に有りまして。

そういう意味で、獣害や事故により出る獣たちの死を革という素材に変えてくれる彼の存在は、私が理想としている素材が作られていく循環を実現してくれています。

死んだ者たちが、供養されて、また生き直すという循環でも有る。

山で生きていると、そういう事が結構大事だと思っておりまして。

色々と思う11月半ば過ぎでした。



革を作っている「コモレビノ」さんのInstagramです→




鹿革の「樹の実case」左側面。

右側面。

鹿革の「ふらりぶらりさんショルダー」

素材を楽しめる2点、やっと出来ました!

裁断前の鹿革です。むっちゃワイルド。

革端にはこんな表情も。

樹の実caseの頭の部分の「宇宙の小窓」。

革表面にどうしても細かに肉割れが出ておりますが、革が破れる事はありません。

こちらはお尻。

こちらは、縫い目に肉割れが出ておりますが、ジョイント革がストッパーになるので、これ以上に広がる事は有りません。

樹の実caseと同じく、ショルダーの引き手も、木の葉です。

呉美保さんの9年振りの映画、良かったです。

菌ちゃん農法の新しい畝を作りました。一番手前が新しい畝。

中央は、夏の暑さで土の中に糸状菌が上手く増えなかったので、やり直し畝です。

いかつくブロックがのっていますが、これは、毛細管現象を利用して、程度な水分が土にの中にキープ出来る様にするもの。適度な水分と空気が大好きな糸状菌の環境整備です!

3ヶ月後、菌ちゃんが増えてくれてると有り難いです。早くタマネギを植えねば。



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