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執筆者の写真atelier-yazd

● 地蔵盆


暑さも本番となってまいりました。

蝉がジージーやらミンミン鳴いていて、気温上昇を盛り上げております。

これまで、冷房を付けずに作業してきた夏ですが、今年は夏の体力温存の為、素直に昼過ぎからスイッチオンしております。

超初期のプラズマクラスターエアコン、なかなかの頑張りです。



今回は、地蔵盆の話を。

工房の有る場所は、伊勢神宮へ向かう初瀬街道の道中もあってか、辻々にお地蔵さまがいらっしゃいます。

そして、この工房の裏手にも、お地蔵さま三体のいらっしゃる祠がひとつ有ります。

かなり古いお地蔵さまで、板状の石にお地蔵さまを彫り出している感じのお地蔵さまです。


毎年、8月の23日、24日前後で、こちらのお地蔵さま三体をねぎらう「地蔵盆」が行われます。

場所によっては、縁日が行われたりするのですが、ここでは、当日の朝にお坊さんが来て、祠の前でお経を唱えて終了するという15分ほどの簡素な行事となっています。

地蔵盆は、本来は子供のお祭りなのですが、この10年、行ける時は伺ってきた行事です。

何故なら、ここに移ってきてから、お地蔵さま三体の前掛けとおざぶ、祠の垂れ幕を毎年縫ってきたからです。


それまでは、呉服屋さんの縫子さんが縫っておられたそうなのですが、皆様、ご高齢になられて、縫うのが辛いとの訴えが出ていたところへ、私が工房を開いたので、待ってましたとばかりにお声が掛かりました。

それから10年、毎年、縫わせて頂きました。

日当たりの良い場所なので、半年ほどで色あせてしまい、大晦日に縫い直した時期も有ります。

可愛い柄の時も有れば、冴えない柄の時もあり、私の気分次第でしたので、お地蔵さまも「今年は、ええなあ」とか、「今年は、しょぼいなあ」とか思っておられたかもしれません。


ここ何年かは、丁度、東京のイベント出張と重なる為、参加は出来ませんでしたが、毎年、7月末ごろになると、そろそろだなあと思い、生地の準備をして、縫い上げて、班長さんにお渡しをしてきました。

そんな地蔵盆のお手伝いも、来年、隣の市に引っ越してしまうので、今年が最後となってしまいました。


地域は高齢化もしていますが、若い世帯の移住も増えてきています。

なので、実は、子供は増えてきては居るのですが、新しい方の参加は少ないようです。

今、この行事を取り仕切って下さってる方が居なくなれば、無くなってしま行事かもしれません。私のやってきた縫子の作業も、引き継ぎ手は見つからないかもしれません。

そんな事を思うと寂しくなり、今年の分と、来年の分の2セットを縫ってしまいました。

新しい縫子さんが見つかる事を祈りつつ、淘汰されていく行事ごとの切なさを思う今日この頃でした。


全く信心の無い私ですが、ここ10年、致命的な病気も事故も無く、何とかやってこれたのは、お地蔵さまのご加護が少しは有ったのかもなあと、ぼんやり思っています。

今年の地蔵盆も、東京イベントなので伺えないのですが、まだ一度もワクチンを打てていない私をどうかお守り下さいませと小さく祈りました。

それでは、仕事に戻ります。



祠の垂れ幕&お地蔵さま三体の前掛け&おざぶの2セット。最後は綺麗なグリーン&ブルー。


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